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優しさで満ち溢れた世界

「……晴れました、ね」
「昨日まではすっごい雨だったんだけどな」
 イルミナとラシュウは、からりと晴れ渡った空を見上げてそう言った。
 昨日までの雨が嘘のようにとても明るい日差し。それどころか、眩しささえ感じてしまうほどだ。
「これなら行けそうだな」
 ぽつり、と呟いたのは数日前に何人かと話し合って決めていたピクニックのこと。
 レレンティカの宿でたまたまそういう話が出たのはいつのことだったろうか。確かここ最近続く雨が降る直前だったような気がする。
 ピクニックの話が出てから雨が降り続き、イルミナが若干落ち込んでいたのをラシュウは知っていた。
 だからこそ、今日晴れたのはとても良かった。この天気なら明日、明後日も天気は安定しているだろう。
 今日は準備をして、明日にでも人を集めてピクニックにでも出てみよう。
「みんな、来てくれる……かな?」
「来るだろ。特にシズは」
 シズが異様に盛り上がっていたのは覚えている。ミーシャはかなり喜んでいて、璧歌(もしかするとメグの方かもしれないが)も一緒に喜んでいた。白夜は……あいつは図書館からあまり出ないから来るのかどうかもあやしいな。隻真は……月餅と茉莉茶を持ってきそうだな。レレンティカは料理に。
「……って、あれ」
 色々と考えてから、ふと己がピクニックのことを楽しんでいることに気がついた。あまりこういったことは苦手であるはずなのに。
「どう、しましたか?」
 ラシュウが声を出したからだろう、イルミナが顔を覗き込んできた。
「……いや、なんでもない」
「む?」
 イルミナが首をかしげる姿を横目で見ながら、ラシュウは空を仰ぎ見た。

 この場所は朗らかで暖かい優しさで満ち溢れている。
 願わくば明日も晴天で陽だまりのような笑顔に溢れることを。

お題 by 花涙

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